政府がエルピーダに支援決定、再建資金1600億円
6月30日18時44分配信 ロイター
[東京 30日 ロイター] 経済産業省は30日、エルピーダメモリ<6665.T>に対し、改正産業活力再生法に基づく公的支援を認定したと発表した。エルピーダが8月に発行する300億円の優先株を日本政策投資銀行が引き受ける。
同法に基づく出資は初めて。このほか、台湾当局が主導して設立する台湾メモリー(TMC)が09年度中に、エルピーダに200億円程度を出資する。公的支援や民間金融機関の協調融資でエルピーダの再建にかかる資金は1600億円。日本と台湾のDRAMメーカーの再編を通じて過剰供給構造の解消を図る。
<高付加価値DRAMは広島で増強、汎用品は台湾に>
エルピーダが公的支援の申請にあたって提出した今年7月から2012年3月を期限とする事業再建計画が認定された。エルピーダ再建に必要な資金1600億円の内訳は、政投銀の出資が300億円・融資が100億円、主要4行など民間金融機関の協調融資が1000億円、TMC出資200億円となる。政投銀が引き受ける優先株に損失が生じた場合、国は8割を補てんする。
再建計画では、携帯電話やデジタルテレビに使われる高付加価値のDRAMは、新興国のデジタル家電の需要の高まりで、シェア拡大を目指す。このため広島県の工場に最先端設備を導入し、月産ウェハー処理能力を向上させる。半導体チップの生産量を増加させて製造原価は20%削減が可能という。
一方、パソコンなどに使わる汎用DRAMは、台湾のDRAMメーカーと連携して製造の主軸を台湾に移す。このためエルピーダは、TMCの出資を受ける。台湾当局は、今年度中にTMCを設立する予定で、台湾のDRAMメーカーをTMCに集約させる検討を行っている。エルピーダはTMCとの関係を強化して、日本と台湾の再編で汎用DRAMの過剰供給構造を解消していく計画。
二階俊博経済産業相はエルピーダの公的支援の決定について「エルピーダは日本で唯一DRAMを製造している。DRAMは主要産業に幅広く用いられているので、エルピーダの経営は国民生活に影響及ぼす」と述べた。再建計画については「エルピーダには四半期ごとに経営状況を報告させて計画の実施をモニタリングする」と述べた。
<TMCとは持ち合い検討、台湾6社は2陣営の色分けに>
記者会見した坂本幸雄社長は、TMCとの関係について「まだ会社はできていないが何度も話し合いをしている。良好だ」と述べた。さらに、TMCからのエルピーダへの出資は10%程度になるとの見通しを示したが、普通株・優先株かは議論している最中だという。一方で、TMCへの出資についても「われわれとしても考えている。選択肢の1つだ」として持ち合いも検討していることを明らかにした。筆頭株主にならない程度の出資を検討しているという。
また、坂本社長は日本と台湾の連携による過剰供給構造の解消について「台湾内に6社のDRAM会社があるのは問題だ」と指摘。台湾内のDRAMメーカーの再編については「1―2グループくらいに集約されないと(DRAM)価格は上がってこない」とした上で「遠くない将来に、エルピーダ(とTMC)の連合に入るのか、米マイクロン
(の陣営)に入るのか色分けが起こるだろう」との見方を示した。
台湾のDRAMメーカーは、力晶半導体(パワーチップ・PSC)<5346.TWO>、茂徳科技(プロモス)<5387>、華邦電子(ウィンボンド)<2344>、
瑞晶電子(レックスチップ)、南亜科技(ナンヤ)<2408>、華亜科技(イノテラ)の6社がある。レックスチップはエルピーダの連結子会社で52%の株保有しており、パワーチップが残りの多くを保有している。イノテラは米マイクロンとナンヤの合弁会社で、市場関係者からは、パワーチップ、プロモス、ウィンボンド、レックスチップがエルピーダ陣営、ナンヤとイノテラがマイクロンの陣営に分かれるとみられている。
坂本社長は、エルピーダ陣営の集約について「今後、レックスチップの株の比率を上げていきたい」と述べた上で、このグループに、パワーチップ、プロモス、ウィンボンドが参加することに期待を示した。ただ、エルピーダ陣営の集約は「3月くらいから話し合いを進めてきたが、相当難しい」と述べて、陣営内の協議は難航しているとの認識を示した。一方で、ナンヤとイノテラとの統合については「技術が相当に違うので難しい」との見方を示した。
<世界は3グループに集約も、 DRAM最後の戦いへ>
DRAM業界は、売上規模で世界1位が韓国のサムスン電子<005930>、2位が韓国ハイニクス半導体<000660>となっており、エルピーダは3位、米国マイクロンは4位となっている。坂本社長は「DRAM業界は最後の競争に入ってきている」と指摘。さらに、今後の世界のDRAM業界について「韓国連合で1社、日本・台湾で1社、米国・台湾で1社と、3グループくらいに集約されるのではないか」との見方を示した。今回、台湾メーカーを巻き込んで再編を進めようとしていることは「そこへ行くための1つの過程だ」と語った。
(ロイター日本語ニュース 村井 令二記者、浜田 健太郎記者)

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