ラムバスは,エルピーダメモリと協力して,世界トップクラスのXDR™ DRAMを開発
コンシューマ機器の世界では,アナログからデジタルに移行する動きが進んだ。いまはデジタル技術に磨きをかけて,さらに高いパフォーマンスをシステムから引き出す局面を迎えている。こうした動きが進むとともに,DRAMの高速化に対する要求は一段と高まる。こうした動きを先取りしたラムバスは,エルピーダメモリと協力して,世界トップクラスのXDR™ DRAMを開発した。この経緯や開発の背景などについて,エルピーダメモリの石川透氏とラムバスのAndy Chan氏に聞いた。
―― エルピーダメモリ株式会社(以下エルピーダ)とラムバス社(以下ラムバス)の関係について教えてください。
石川透氏
石川氏
高性能DRAMにおけるエルピーダとラムバスの長年にわたるコラボレーションが始まったのは,NECとラムバスがRDRAM®インタフェイス技術の技術ライセンス契約を締結した1991年に遡ります。1999年にNECと日立製作所が,ジョイントベンチャーでエルピーダを設立。それ以降,エルピーダとラムバスは様々なプロジェクトを通じて密接な協調関係を築いてきました。2003年には,DRAMポートフォリオにラムバスの XDR™メモリテクノロジを加えるため,ラムバス社とXDRメモリ技術に関する技術ライセンス契約を締結し,2005年からXDR DRAMの出荷を開始いたしました。
―― XDR DRAMの開発はどのように始まりましたか?
Chan氏
XDRメモリインタフェイスは,様々なアプリケーションに対応するように考案されています。SCEとラムバスが緊密な協力関係を築き,PS3の性能要求に対応するべくアーキテクチャの向上を図りました。メモリアーキテクチャとともにプロセッサバスインタフェイスの性能要求も考慮のうえ,XDRの採用が性能・コスト要求を満たす最適なソリューションとSCEに判断して頂いたのです。
石川氏
先端メモリ・ソリューションの開発におけるエルピーダとラムバスの長年にわたる関係の中で,エルピーダにとってラムバスのエンジニアリング・チームと次世代のメモリ技術について議論をすることは当然のことでした。ラムバスは,次世代アプリケーション向けメモリの設計と開発において,市場のニーズを的確に捉えていました。その結果,PLAYSTATION®3,プロジェクタ,および,グラフィックサーバーなどでXDRテクノロジーが採用されました。
―― XDR DRAMに適するアプリケーションは何ですか。またその理由をお聞かせ下さい。
アンディチャン氏
Chan氏
柔軟性の高いXDRメモリ・アーキテクチャは,デジタル・コンシューマ機器,コンピューティング,グラフィックスなど,様々なアプリケーションに対応できるように設計されています。XDR DRAMと他のDRAM製品との違いは,ピン数の削減によって,システムコストを抑えながら,優れたパフォーマンスのメモリ信号で高いレベルの性能を実現していることです。また,x16 XDR DRAMデバイスはプログラム可能なビット幅を実装しており,16ビット幅に加えて,8ビット幅,4ビット幅,2ビット幅および1ビット幅のデータバスをサポートしています。さらにXDR DRAMは低コストの量産向けプリント基板やパッケージを採用しています。
石川氏
デジタルTVやプロジェクタなど最新のデジタル・コンシューマ機器では,リアルな画像を実現するための高性能メモリが求められています。高解像度コンテンツの多重ストリーム,イメージプロセッシングの向上,動き補正タスク,10ビット以上のカラーを扱うにあたって,少ないデバイス数ながら高いバンド幅を実現するメモリが必要です。XDR DRAMは16ビット幅のXDR DRAM1個で6.4GB/sのバンド幅を実現します。これは,XDRを制御するコントローラ側のピン数削減というメリットをもたらします。つまり XDRDRAMは,より少ないデバイスで高バンド幅を実現するのでデジタル・コンシューマ機器に最適なメモリ・アーキテクチャと言えます。
―― エルピーダとラムバスのエンジニアリング・チームはどのようにXDR DRAMの開発に取り組みましたか?
XDRメモリアーキテクチャ
XDRメモリアーキテクチャ
Chan氏
XDR DRAMでは,低コストのDRAM製造プロセスを使いながら,業界初の3.2GHz動作と100%の歩留まりを達成することが目標でした。このために,新たな回路ソリューションが必要でした。性能を犠牲にすることなくシステムのパワーバジェットを確保したり,量産向け高速デバイスの評価と測定を可能にするための新しいテスターおよびテスト手法も考案したりすることも課題でした。
エルピーダの協力のもと,我々はこれらの技術的課題を克服し,業界最速のDRAMを実現することに成功しました。ラムバスにとってエルピーダのエンジニアリング・チームの深い専門知識は大変貴重なものです。一方,ラムバスには,システムのアーキテクチャ,高速I/O設計,システム全体とメモリチップ・コンポーネントのシグナル・インテグリティ対策などに強みがあります。両社のこれらの専門知識を統合することにより,様々な課題を克服することができたのです。
石川氏
エルピーダとラムバスは,ラムバス社のIPをもとに,エルピーダのプロセスにあわせながら回路調整をどのように行なうか等,オープンにディスカッションしました。また,単なる回路調整ではなく,評価,量産上必要となる機能の追加なども行い,最終的にエルピーダの生産フローに対応できるようにXDRインタフェイスをカスタマイズしました。またラムバス社は,メモリやコントローラデバイスだけでなく基板を含めたトータルソリューションを提供していますので,この超高速インタフェイスを4層基板で実現できました。
Chan氏
両社のエンジニアリング・チームは,XDR DRAMの性能と歩留まりの向上などに引き続き注力しています。現在両社で,4.0GHzや4.8GHzのデバイスなど,さらに高性能なXDR DRAMの開発を進めております。これらの高性能デバイスには,市場のニーズにこたえるために,さらに進んだプロセス技術が用いられるでしょう。
―― デジタル・コンシューマ向けDRAMの今後の展開についてお聞かせ下さい。
石川氏
デジタル・コンシューマ分野では,デバイスの高速化が市場拡大のキーになると考えています。エルピーダでは,現在70nmプロセスの512MビットXDR DRAMの生産を開始していますが,このデバイスをベースに,4.0GHz〜4.8GHzと高速化を進めます。さらに今後は,6.4GHzクラスの高速品を製品化することも検討しています。容量に関しても,現在,512Mビットですが,顧客の要求に応じて1Gビット・クラスのXDR DRAMを開発する予定です。
―― 最後に,今回のエルピーダとラムバスの協調関係についてお二人それぞれからコメントをお聞かせ下さい。
石川氏
今回のエルピーダとラムバスの協調関係は大成功だったと思います。その結果,XDR DRAMという超高速のメモリ市場を構築できました。今後もラムバスと協調し,お客様が要求する世界最高速のメモリを提供し続け,それが,両社の更なる成功につながると思います。
Chan氏
ラムバスは,エルピーダとともにXDR DRAMを実現できたことを大変誇りに思っております。我々は,今後もエルピーダとのコラボレーションを継続することによって市場が求める先端DRAMソリューションをお客様に提供し,両社がともに成功を収めることを期待しています。
“RDRAM”は米国およびその他の国においてラムバス社の登録商標です。“XDR”,“FlexPhase”は同社の商標です。
“PLAYSTATION”は,株式会社ソニー・コンピュータエンタテインメントの登録商標です。
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