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DATE: CATEGORY:エルピーダメモリ
夢と情熱と責任

2008/04/16 09:25
木村 雅秀=日経エレクトロニクス

 先日,エルピーダメモリ 代表取締役社長 兼 CEOの坂本幸雄氏に取材する機会がありました。同社は台湾United Microelectronics Corp.(UMC社)と協力し,日本市場向けのロジック・ファウンドリー事業に参入することを2008年3月に発表しています(関連記事1,同2)。なぜ今参入するのか,その狙いについて聞きました(詳細は日経エレクトロニクス2008年4月21日号のNEインタビューに掲載します)。

 坂本氏はユー・エム・シー・ジャパン(UMCJ)にいた2001年当時,資本の50%をUMCJ,残り50%を国内LSIメーカーが負担する日本版Si ファウンドリーを立ち上げようとした経緯があります。国内のLSIメーカーが小規模の工場をバラバラに保有するよりも,大規模なSiファウンドリーを作って共同利用した方がコスト効率を高められるとのコンセプトでした。この考え方に国内LSIメーカーも基本的には賛同しましたが,具体的にどのように実現するかを決める段階で計画は頓挫してしまいます。

 この時の状況について坂本氏は「自社だけではどうにもできず,あきらめてしまった」と振り返っています。ところが今回はUMC社との関係だけで計画を完結させました。逆にそれができるくらいエルピーダメモリの能力が高まったともいえます。工場の生産能力は300mmウエハーで11万枚/月近くあり,その一部(3万〜4万枚/月)を使ってファウンドリー事業を展開するので,「オーバーヘッド・コストはほとんど吸収される」(同氏)とのこと。 DRAM価格が急落したので経営を安定化させるためにファウンドリー事業に参入したという事情もあるとは思いますが,むしろそれを可能にする実力を企業として身につけたことの方が大きいと思います。

 企業の成長に関して,坂本氏はファウンドリー事業への参入を発表した3月17日に東京大学で興味深い講演をしていました。つまり,多くの企業は最初「夢」のフェーズからスタートし,「情熱」のフェーズで困難を乗り越えながら成長を遂げ,「責任」のフェーズで社会貢献や安定経営(または凋落)に向かって推移していくというものです。エルピーダメモリは現在,情熱のフェーズにあると同氏は説明していました。今回の取り組みを見ていても,まだまだ新しいことをやってくれそうな雰囲気を感じます。その一例がUMC社との協業で生まれたというDRAMの高速化技術です。詳細は明らかにしませんでしたが, DRAMのトランジスタ工程をエルピーダメモリ,それ以降の工程をUMC社が担当したところ,驚くほどの高速化を達成したといいます。

 一方で今回のエルピーダメモリの取り組みは同社が責任フェーズに入りつつあることも示しているような気がします。今回のファウンドリー事業は,国内LSIメーカーがファブライト化を進める上で重要な受け皿となりうるからです。坂本氏は国内の優秀なLSI設計者がいろんな制約の中で本当の実力を発揮できていないのではないかと危惧しています。中でも大きな制約が自社工場の縛り。「自社工場が空いていると,そこを埋めるための設計が優先され,本当に良いものができていないのではないか。そこのタガを外せたら――」。そう語る同氏からは半導体業界を引っ張ってきた人間としての責任のようなものを感じました。



テーマ : おすすめ商品 - ジャンル : 育児

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